エマオに向かって

「ところで、ちょうどこの日、弟子たちのうちの二人が、エマオという村に向かっていた。」ルカ24:13

私の信仰とその経緯 #5

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8. 失楽園

しかし、彼らとの別れは突然訪れました。

 

ある日曜日(教会デビューをした1ヶ月後くらいだったと記憶しています)、私はいつものように礼拝に出席し、帰ってくると疲れから何時間も眠ってしまいました。

 

夕方ごろにようやく目を覚まして、リビングに向かうと明らかに不穏な空気が流れています。何かが起きたことはすぐに分かりました。両親に席に着くよう促され座ると、父は一枚の紙をテーブルに叩きつけました。

「これは一体なんだ」

そこには「脳占領プログラム」と書かれています。それは、摂理で行われていた祈祷プログラムのリーフレットでした。母が私の寝ている間に、私のかばんの中からそれを見つけたのです。

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私の信仰とその経緯 #4

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7. 教会デビュー

摂理において、初めて礼拝に出席する日は「教会デビュー」と呼ばれ、華々しい祝いの日でした。私はRと一緒に入場し、礼拝堂の一番前の席に座りました。それはまるで、結婚式のような雰囲気です。そして、牧師から信者たちに私の紹介がされると、割れんばかりの拍手を受けました。

 

そして、礼拝が始まります。礼拝では、賛美が歌われ(喉が枯れるほど大きな声で歌う)、鄭明析が獄中で書いた説教原稿が牧師によって代読されます。女性信者の中には、感動で涙する人も多くいました。

 

そうして約2時間にもおよぶ礼拝が終わると、それぞれのシェアハウスに戻り、いつものようにバイブル・スタディーが始まります。

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私の信仰とその経緯 #3

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5. 神さまと出会った日

季節は移り、秋になっていました。

いつものようにバイブル・スタディーに参加した私は、帰り道をひとり歩いていました。すっかり陽が落ちるのが早くなって、空には夕陽が赤々と燃えています。

 

私はずっと心の中に疑念を抱いていました。

彼らと過ごす日々はとても楽しい。でも、彼らを本当に信用してもいいのだろうか。

聖書を学ぶのもすごくおもしろい。でも、神さまなんて本当にいるのだろうか。

そんな疑いが、いつも心のどこかにありました。

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私の信仰とその経緯 #2

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3. 高校2年生、夏

この頃はよく本屋に行って、英語の参考書や留学関連の書籍を読み漁っていました。その日も、いつものように私が本屋で立ち読みしていると、一人の青年が私に話かけてきました。

K「すみません、留学に関するアンケートを行っているのですが、協力していただけませんか」

彼は早稲田大学の院生(ここではKとします)でした。私はもちろん承諾して、彼に留学への想いをたくさん語りました。すると彼は、今度、留学セミナーがあるからぜひきて欲しい、と私を誘いました。そのセミナーでは、留学した早稲田生が様々な実体験を話してくれるそうで、私には願ってもない機会でした。

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私の信仰とその経緯 #1

はじめに

洗礼を受けてから7年という月日が経ち、今もう一度、私は自分の信仰とそこに至った経緯とを見つめ直し、ここに試練と恵みに満ちた「私の救いの物語」を、初めから丁寧に、順序立てて書き記したいと思うようになりました。

 

そう思ったのは、第一に、いま私自身が信仰の岐路に立たされており、私の人生のうちに働かれる神が、私に何を望んでおられるかを見極める必要にかられているからです。また、第二に、これから私のことを知る人々に、普通とは少し違う道を辿ってきた私のことをよく知っていただきたいと思うからです。そして、最後に、すでに私のことを知ってくれている友人たちに、何一つごまかさず、何一つ省略せず、私の救いの証を書き伝えたいと考えたからです。

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